「ワシらの暮らしは、石油を燃やしてつくるエネルギーによって支えられておる。ところが、地球にある石油の量には限りがあり、燃やしたあとの排ガスは環境に良くない。自然の力を利用したエネルギーも研究されているが、今、最も注目されているのが、燃料電池なのじゃ。」


「環境問題とエネルギー問題の両方を解決できるんだね!! だれがそんなスゴイことを考えたの?」



「原理を発見したのは、イギリスのデービー博士、200年も前のことじゃ。でも実用化できたのは、宇宙開発が始まってからじゃ。排気がクリーンで飲むための水もつくれることから、アポロ宇宙船などの電源として使用されたのじゃ。」


「宇宙船の中では、燃料を燃やせないものね。でも、どうして電気がつくれるの?」



「理科の実験でやる、水の電気分解の逆なのじゃ。水に電気を通すと、水素と酸素ができる。これが水の電気分解。このあと、乾電池の代わりに豆電球をセットすると、ホラ、点灯するじゃろ。水素と酸素が反応して、電気をつくっておる証拠じゃ。」


「マッチで火をつけるとポン!と燃えちゃうだけなのに… でも、どこが違うんだろう?」



「余ったエネルギーを出すという点では、同じなのじゃ。ただ、エネルギーのカタチがちょっと違う。燃えるときは熱になるが、燃料電池では電気になる。その不思議の鍵となるのが、電解質なのじゃ。」


「いろいろな燃料電池があって、電解質が違うんだよね。 ボクたちの手助けが必要な燃料電池もあるんだね。」



「固体酸化物型燃料電池(SOFC)というのじゃ。燃料電池のなかで最も発電効率が高いうえ、発電の際の排熱でタービン発電機を運転することもできる。この複合サイクルで、70%近い超高効率発電が可能なのじゃ。」


「そのスゴイ燃料電池の電解質が、ボクの仲間なんだね。 ほかにもボクの仲間がたくさん頑張っているよね?」



「電解質だけではなくて、電極用原料としても頑張っておる。電極は、すべてのタイプの燃料電池に必要じゃから、自動車ショーなどで話題になる燃料電池自動車にもジルコくんの仲間が活躍しておるのじゃ。」


「自動車だけじゃなくて、病院やコンビニ、小さな街の発電まで、燃料電池の時代がもう始まっているんだね!ところで、博士、燃料電池の燃料って、どうするの?」



「燃料電池の燃料は、もちろん水素じゃ。水素は水を電気分解してつくることはできるが、それにはたくさんの電気が必要だから効率が悪い。でも、安心したまえ。ジルコくんの仲間の力を借りれば、生ゴミからでも水素がつくれるのじゃ。」


「スッゴイ、ここにもボクの仲間が… いったい、どれくらいの仲間がいるのか、覚えきれないほどだね!」



「他の者が研究をしていない、<稀な元素>に取り組んで50年。たくさんの<価値あるもの>を世に送り出すことができた。でも、ワシはまだまだ不満足じゃ。幸いにして、若いエネルギーにあふれた後輩たちや理解あるお客様たちが、力を貸してくださる。ジルコ君、待っておれ。スゴイ仲間をもっともっとたくさん育てるぞ!!」


「博士、ありがとう。ボクも一緒に頑張るよ。」