「硝酸セリウム(IV)の加水分解によって調製されたセリアゾルの物性」

(第一稀元素化学工業) 高崎 史進

< 緒言 >

酸化セリウム( CeO2 )は高い酸素吸蔵能放出能を持つため、自動車用の排ガス浄化触媒の原料として使用される。このときCeO2はエンジン直下で高温の排ガスにさらされながらも高い比表面積( SA )を保たなければならない。セリアゾルは粒子径が小さいために高いSAを持ち、また、それに含まれる個々のCeO2粒子は高い分散状態にあるため、他の材料と容易に混合できたり排ガス浄化触媒上に均等に分散できるといった特長がある。以上の点から、セリアゾルは排ガス浄化触媒への適用が可能であるが、そのときにはやはりSAの耐熱性が要求される。

本研究ではSAの耐熱性が高いセリアゾルを得るために、硝酸セリウム(IV)( Ce(NO3)4 )の加水分解を繰り返す方法を試み、得られたセリアゾルに含まれるCeO2粒子の焼結特性について調べた。

< 実験 >

イオン交換水へ硝酸( 市販品, 67.5 mass% )と水酸化セリウム( 市販品, 純度99.9 mass% )を加え、100℃まで加熱しCeO2換算で24 mass%のCe(NO3)4を得た。さらに、100℃で1, 3, 6時間保持し3種類のCe(NO3)4を用意した。次に、この3種類のCe(NO3)4について、CeO2換算で6 mass%に希釈した後、沸点還流下に加水分解した。このとき生成したセリアゾルとなり得るCeO2粒子は沈殿として得られた。デカンテーションで上澄みを除去した後、この沈殿の共存下に再びCe(NO3)4( Ce : 6 mass% )を加水分解する操作を1〜3回行った。以上から12種類のセリアゾルを調製した。

これらのセリアゾルについてUPA( 日機装 )で粒子径分布を測定した。得られたセリアゾル( pH0〜1 )をアンモニア水( 市販品, 25 mass% )で中和し、CeO2粒子の沈殿を得た。それらについて、所定の温度で1時間焼成した後、BET法によるSAの測定、XRD測定を行った。

< 結果 >

セリアゾルになり得るCeO2粒子の共存下に繰り返す加水分解の回数の増加にともなって、セリアゾルの粒子径は大きくなった( Fig. 1. )。 また、同じ加水分解回数においてCe(NO3)4( CeO2 : 24 mass% )の100℃でのエージング時間が長いほど粒子径が大きかった( Fig. 1. )。

粒子径の大きいセリアゾルから得られたCeO2粒子ほど、SAの耐熱性が高かった( Fig. 2. )。XRD測定から計算した結晶子径から、粒子径が小さいセリアゾルから得られたCeO2のほうが焼成温度による粒子径の成長が急激であった。

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